いまさらデート服なんて・・・
そうおっしゃらずに、ちょっと考えてみて下さい。
子供達が育ち、二人の時間が増えてくる40代後半から50代の夫婦。
子供なしの夫と二人の過ごし方
「考えられない」
「どうやって過ごしていたっけ?」という声も聞こえてきますが、若い頃とは違い、
それぞれ活動をして帰って行く場所が同じであることに安心感を覚えたり。
同じ部屋でそれぞれ好きなことをしている平穏な休日にしみじみと幸せを感じたり。
たまには一緒に同じ映画を観て「面白かったね」と話したり。
つかず離れずのよい関係を保てるのが大人のカップルでしょう。
コミュニケーションの基本は「相手に興味を持つこと」
あまりにも普通すぎて、最近お互いをよく見ていないなと感じたならば、
改めて
パートナーの「好き」なものは何?
パートナーは何が似合う?
という目線で相手を見てみるのもいいと思います。そこから新たな大人の関係が見えてくるかもしれません。
コンテンツ
分かち愛の心理学
「そもそも、男は火星人で女は金星人だった。…そう想像してみよう」
冒頭この書き出しで始まるのが、心理学博士 ジョン・グレイの「分かち愛の心理学 ベストパートナーになるために」
私はこの本を二人の子供達が小さくて一番手がかかっていた頃読みました。きっと夫に対して不満がたまって、それが上手く伝えられなくて悩んでいたのだと思います。
「男女は根本的に全く異なった人種と心得る」
なるほどなと思いました。なまじ同じ日本語、言葉が通じる、ましてや話さなくてもわかり合えるなどということはないのだと悟りました。
そして心がけたのがこの5つ
◇してあげたいことが必ずしも相手がして欲しいこととは限らない。お互いに…
◇子供に対して父性と母性は違うようだ
◇勝負をしない
◇黙って無理をしていても相手は気がつかない場合が多い。煮詰まる前にソフトに訴えよう!
◇鬱憤晴らしは少しのユーモアを持って
これを二人の時間が多くなった今、もう一度確認してみようと思います。
「あなたのために」は「わたしのため」
「こんなにしてあげているのに!」と恨みがましい気持ちになったときは、何かのバランスが崩れているなと感じます。与えるばかりになっていたり、やっている割に感謝されなかったり…
「こんなことをしてほしいんだろうな」と相手を思いやるのは大切なことなのですが、それが的外れなこともあったりします。
そんな時「これは私がしたくてやっていること」と一回自分に言い聞かせます。
夫に限らず、家族や職場、友人関係でも、相手に何かしたいと思うときは一度この呪文を唱えます。
相手がとても喜んでくれたら自分が嬉しいし、そうでもなかったら「自分は出来て満足。でもこれじゃなかったかな。」とさらっと流します。あまりにも力が入っていると流せないときもありますが、でもこれは大人の余裕で流します。
誰かに何かをすると自分が癒されるのですよね。
あるとき、体調が悪くて寝込んでいた夫の足がむくんで辛そうだったので、軽く足の保湿とマッサージをしました。それは夫のためにやったことなのですが、仕事帰りで疲れていたのにもかかわらず、私の気持ちの方が落ち着いて、とても穏やかな気持ちになりました。夫も楽になってとても良い空気が流れました。
「あなたのために」は「わたしのため」になるのですね。
母性と父性?
ある日、まだ若かった友人がご主人に憤慨していました。
「息子がラーメンのなると巻きが大好きだから、私のもあげたの。でも夫は絶対にやらないの。夫は大人になっていないんだわ!」
私は食いしん坊なので、私のなると巻きも息子にあげないかもしれません。でも、母親として「そんなに好きなら私のもあげたい」という気持ちはわかります。
その時、これは母性なのかなと思ったのです。母性の強いお父さんはあげるかもしれませんが、我が夫も自分のものは自分でしっかり食べます。ただ、食べるものがそのなると巻きしかなかったら、小さな息子達に食べさせたでしょう。
ある日、夫の母も憤慨していました。
「息子が海外出張から帰って来てうちへ寄るというのに、お父さんは釣りに行ってしまったの」
義父は息子が無事ならば顔を見なくても安心していました。顔を見るまで安心できないのが母親というものなのですね。
父親というのは、どうも私たち母親の感覚とは違うのだな。そこで、「息子のために父親としてこうあるべき」というよりは、「私があなたと一緒に息子を迎えたい」と話した方が伝わりやすいんだろうなと思ったのです。
勝負をせずに翻訳する
若い頃は、おっとりした私でさえ勝ち負けにこだわっていたなと思います。
「なんかいつもジーンズをはいてるね。たまにはスカートをはけば?」などと言われようものなら、「私は男の子二人を追いかけ回して毎日過ごすのにスカートなんてはいていられない!あなたは私の生活をわかっていない。女はスカートをはくべきなんて考えはかたよってる!」と、この通りに言いはしませんでしたが、こんな想いが頭を駆け巡ります。
何だかスカートをはいたら負けのような。あの頃は何と勝負をしていたのか?
もっとも夫の方も非難めいた言い方をせずに「君のチャームポイントのひとつはまっすぐな足だから、いつもパンツで隠してばかりじゃもったいないよ」とでも言ってくれれば、勝負もしなかったのだと思うのですがね。
日本人男性はこの辺りが上手くないですね。イタリア人のようにもっとほめればいいのだけど。
そこで、イタリア語ならぬ同じ日本語でも翻訳力がものを言います。
「なんかいつもジーンズをはいてるね。たまにはスカートをはけば?」を「君のチャームポイントのひとつはまっすぐな足だから、いつもパンツで隠してばかりじゃもったいないよ」と頭の中で翻訳してみるのです。この翻訳力は両親や思春期の子供達との関係でも役立ちます。
難しいですか?まぁ、気持ちの余裕があるときに試してみて下さい。
上手に弱みを見せる
「頭が痛い」「ああ、熱っぽいな」と感じても、主婦はあまり寝込むことはありません。がんばって家事をします。何も言わずにやっていると、「体調が悪いんじゃないの?」とはなかなか気づいてくれない。ここでも、こちらから言うのは負けな気がして、よほどでない限り黙って頑張る。「体調が悪いから出来ない、手伝って」とこちらからは言いたくない。
我が夫は細やかに良く気づく方なのですが、動けるなら大丈夫なのだろうと永遠に手を貸してくれません。そこで一言「頭が痛いからちょっと寝たい」と言ってみたところ、面白いほどに全てを察知したようです。
「ああ、言わないと伝わらないんだ」
「たまには弱みを見せて助けてもらおう」
これも少し大きくなった息子達にサポートを頼みたいときにも大いに役立ちました。
大人の女性は上手に弱みを見せる。好きなこと、やりたいことをして、上手く家族に協力をしてもらいましょう。
少しのユーモアがあれば大事にならない
そうは言っても、ストレスがたまっているときは、そうものわかりの良いことばかり言ってはいられない。何かで鬱憤をはらしたい。小さな復讐をしてやりたい。そんな時は少しのユーモアを忘れずに、後でよけいにストレスにならない方法で復讐を遂げましょう。
私は夫が大好きな杏ジャムが原因で夫婦喧嘩をしたときに、スーパーにあった杏ジャムを買い占めて鬱憤を晴らしました。380円の杏ジャムを10個買っても3800円です。そのくらいなら後でストレスはかかりません。「杏ジャムは好きだけど、こんなに買ってきたの?」という夫の反応もちょっと面白かった。
相手に興味を持つ
大人の女性の余裕で分かち愛をしたところで、実際にパートナーとコミニュケーションを取ってみましょう。
パートナーの「好き」に興味を持つ
子供の話以外何を話すの?
と困ってしまう場合は、相手の好きなこと、興味を持っていることについて話してもらうというのはどうでしょう?
本当は私の好きなことを話したいところですが、とりあえず始めは相手の好きなことを聞き出してみます。
「えっ?そうだったの?」と、意外なこだわりがあったり、今までこだわっているのだろうと思っていたことがそうでもなかったり、色々な発見があります。
趣味がないという人でも何かしら好きなことはあるはずです。
パートナーの「好き」に興味を持つと、自分の世界も広がったりして面白いです。
特に家を建てたり、リフォームを考えている場合は、早めに相手の好み、私の好みについて度々話をしておくと良いですね。そうすると共通言語が出来るのです。
「開放感のある家」にしたいとお互いに思っていても、妻はナチュラルカントリー風を想像し、夫は南の島のようなリゾート風を想像しているかもしれません。
でも、それぞれの好みを話し合っておくと「ああ、妻はナチュラルカントリー風で開放感のある家にしたい」と言っているんだな、というのは伝わります。
実際にどうするかは、テイストをミックスして行く作業が必要ではあります。
パートナーの装いに興味を持つ
装うことにはいくつかの意味があります。
◇自分が心地よいこと
◇「私はこういう人です」という自己表現
◇一緒に過ごす人へのリスペクト
装いは心地よさ
装うことによって心地よさを手に入れることは大切です。まずは寒さや怪我から身を守ってくれる。
寒いときは暖かく、暑いときは涼しい装い。着ていてちくちくしたりせず肌触りが良いこと、動きやすく窮屈でないこと。
休日を夫婦家で過ごすときは、この心地よさを重視したいですね。でも、お互いがゲンナリしない程度のおしゃれ感もほしい。
夏は涼しく冬は暖かく、洗濯が出来るモノ。座ったり寝転がったり出来て、すぐに犬の散歩にも行けるくらいのホームウェア。
暑がりの夫に夏に家の中で襟付きのシャツを着てとは言いません。やはりTシャツに短パンが快適です。そこで外にもはいていけそうな短パンとキレイめなTシャツ。
Tシャツはヨレヨレになる前に変えるようにします。
他の季節も鍛えている方はスエットでも良いと思いますが、秋と春はウェストがゴムの綿パンに長袖のTシャツ。冬はコーデュロイのパンツにニット。
登山ウェア-などのスポーツウェアーもお洒落になっているので、動きやすくて見た目も良いデザインのボトムスがそろっています。Tシャツ類はどんどん変えたいのでリーズナブルなものを枚数買うようにします。
私の部屋着は1年を通してほぼワンピースです。家で洗えてシワにならず、肌触りがよくヨレヨレになりにくい。
ゴミ出しや洗濯を干す位は外に出られるようなモノ。
私はわくわく感が必要なので、リラックスできるだけでなく、気に入った色、柄、デザインも重要な要素です。
良い素材を選んでおくとまとめておしゃれ着洗いで洗濯すれば、けっこう長く着ることが出来ます。
大人のリラックスワードローブはこのヨレヨレになりにくく、手入れがしやすい素材感と気持ちがあがるわくわく感を大切にしたいと思っています。
装いは自己表現
「私はこういう人です」というのは、特に仕事顔の時に重視したいですね。どんな仕事かによって装いは変わってきます。
夫の仕事着もそれを重視して選びます。
プラス本人が頑張れる装いにすること。
我が家の場合は、基本はダークスーツ。ドレスコードとしてはこれを外さなければ大丈夫。夫のこだわりはダブルのスーツであること、サスペンダーとカラーシャツ、トレンチコート。これが夫が頑張れる装い。
最近は英国風のダブルスーツが復活してきましたが、一時ある筋の方しか着ていない時もずっとダブルのスーツを作って着続けました。
シャツは冠婚葬祭以外はカラーシャツか白でも地模様があるもの。
ネクタイとの色あわせが必要になるので、私が予めセットしておきます。
お洒落なご主人は自分で選ばれると思いますが、夫は色あわせなどよくわからないけれどカラーシャツが着たい。
そして大人の男と言えば太いダブルクリップのサスペンダーというこだわりがあるようです。
これも最近増えてきましたが、以前は探すのが大変でした。
ゲットーの影響でしょうか?
トレンチコートはこの方の影響かな?
この場合は、形や色にこだわった例です。人によっては動きやすさにこだわったり、クラス感にこだわったりとそれぞれでしょう。
では、こんな装いの夫と待ち合わせて、サントリーホールに来日オーケストラのコンサートに行きます。
私はどんな装いが良いでしょう?
二人で歩くときは、二人の装いがそれとなくリンクしているといいですね。
まずは、色でリンクさせます。
濃紺のスーツに合わせてレースをあしらったネイビーのワンピース
ピンクベージュのカラーシャツにピンクベージュのワンピースでリンク
ネクタイとポケットチーフをパープル系にしてパープル系のワンピースでリンクさせる。
もし私も仕事帰りで着替える時間がなかったら、ジャケットで雰囲気をリンクさせます。
プリーツワンピースにジャケットで、ベルトとアクセサリーを変えて華やかに
インナーをレースに、明るいジャケットで華やかに
こんなシチュエーションで大人のワードローブに足したいものは
◇コンサートホールなど、非日常の空間に合わせた華やかなデザイン、素材のアイテム。
◇ビジネススーツに合ったきちんと感のあるワンピースやセットアップ、ジャケット。
◇逆にビジネススーツの固さを和らげる柔らかいテイストのアイテム。
これらの要素を併せ持ったアイテムを少しだけワードローブに足してみると、ベイシックアイテムとコーディネートして、ディナーなど様々な場面で使うことが出来ます。
装いは一緒に過ごす人へのリスペクト
結婚式に招待されたら、純白のドレスはNGですよね?その日は花嫁が主役ですからね。花嫁花婿の幸せを祝って、招待客は主役より目立つことなく、それでも華やかに雰囲気を盛り上げます。このように誰かを想って装う時があります。
では、家の中だけではなく、たまには夫婦二人で外に出かけましょうか。庭園美術館で展覧会を鑑賞して、その後白金でカジュアルランチでもいかがでしょう?
大人の男性のカジュアルな外出着はこのシャツ、ジャケットスタイルを参考にするといいと思います。
いくらカジュアルでもTシャツだと多くの大人の男性は部屋着感が出てしまいます。
いわゆるジャンパーではちょっと貧相な感じになってしまいます。
そう見えないようにするためには鍛錬と工夫が必要です。
かといって、スーツの上着のようでもカジュアル感が出ません。
大人の男性のワードローブにはカジュアル用のジャケットが春夏用と秋冬用1着ずつあるとかなり使えます。
ネクタイありならこんな感じ?
光沢のないツイードのジャケットは少しカジュアルになりますが、このネクタイとチーフの組み合わせが素敵です。
ジャケットスタイルはピアース・ブロスナンやコリン・ファースでなくても、大人の男性を素敵に見せることができます。
私たちのために素敵に装ってほしいですね。
では、夫と美術鑑賞、カジュアルランチに出かける時、一緒に歩く夫のために私たちも装いましょうか。
ご夫婦によって好みは様々だと思いますが、夫と出かけるとき、私は圧倒的にスカートが多いです。
少し揺れる感じのきれい色のスカート。
年を重ねても、いいえ年を重ねたからこそ、はっきり見えてきた自分のチャームポイントは押さえておきます。
一緒に過ごす人のために、私なりにできるだけ美しく装います。
私は仕事場でも、友人と過ごすときでも、会う人の顔を思い浮かべながらコーディネートを考えます。
一緒に過ごす人が心地よく過ごせるかな?と私が考える装いに自己表現も乗せて行きます。
これは大人になって余裕が出てきたからでしょうか。夫とも勝負しなくなりましたしね。
旅のワードローブ
国内の旅行は女友達と行くという方も、海外は夫と行くのが楽だと言う声をよく聞きます。
話さなくても同じ空間にいられるし、喧嘩をしても元に戻れるし、環境の変化とある程度の日数になる海外旅行は夫と行くのが安心です。
海外でなくても、時には夫と二人旅もいいですね。
では旅のワードローブはどうしましょうか?
ロードムービー「ボンジュール・アン」の旅のワードローブ
映画の中の旅のワードローブを参考にしてみましょう。
エレノア・コッポラ脚本・監督「Paris Can Wait」
邦題は「ボンジュール アン」
何と80歳にして初の長編劇映画監督デビュー作品。
とはいっても…エレノア・コッポラのご主人は泣く子も黙る!「ゴッド ファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ監督
「マリー・アントワネット」のソフィア・コッポラはお嬢さん。
この作品はエレノア・コッポラが、カンヌからパリへ、フランス人男性と予期せぬドライブをすることになった自らの体験をもとに書いた脚本で、夫の薦めで自らメガホンをとったロードムービーです。
主人公、52歳のアンを演じるのは、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画にも多数出演している、映画公開当時52歳のダイアン・レイン。
フランスの美しい風景と見目麗しい食事とワイン、お洒落な大人の会話。
ロードムービーは、一緒に旅をした気分になれるところが好きです!
そして衣装担当は「マリー・アントワネット」の衣装も担当したミレーナ・カノネロ。
アンの衣装は3着。プラス着物のような美しいイエローのナイトガウン。
シンプルながらシルエットがキレイで、ディテールの凝ったモノばかりでした。
それに風景にもぴったり!旅のワードローブはこれが大事です!!
ダイアン・レインはベージュのパンツに白シャツ。ベージュのジャケット。
アルノー・ヴィアールはネイビーのポロシャツにジャケット、ベージュのパンツ。
二人のバランスもぴったりです。
ジャケットを脱ぐとこんな感じ。
レストランでの装いのこの赤いワンピースが素敵です。男性はポロシャツをシャツに変えて。赤とネイビーのコントラストもいいですね。
ポケットチーフをこのようにさりげなく身につけると素敵です。
白Tにジーンズなら普通だけれど、デニムのマキシスカートというのがお洒落。
カジュアルな旅の服装にレストランでさっと巻いたストール使いはさすがでした。
やっぱり赤いドレスは素敵!還暦祝いに赤いワンピースはいかがでしょう?
程良い肉付きにすっとした姿勢で赤いワンピースドレスを纏い、ジミーチューのピンヒールサンダルに耐えうる脚力を維持している60歳…
そんな妄想をしていると、夫と共に歳を重ねるのも悪くないかな。
かけがえのない二人の時間。大人の関係を楽しみましょう。
まとめ
◇大人のデート服はベイシックワードローブにプラス華やかなアイテムを足して
◇二人で家で過ごすホームウェアーは自分も心地よく、お互いにがっかりしない程度のおしゃれ感を
◇一緒に過ごす相手のことを想ってコーディネートする
大人のお洒落と心躍る暮らしをスタイリングするマチュアスタイリスト
黒滝伊都子