私は比較的いつもご機嫌です。ご機嫌の源のひとつは仕事帰りの寄り道。
今回の寄り道シネマは
「マンマ・ミーア! Here We Go Again」
実は寄り道したのは昨年なのですが、ブログを書いているうちに秋も深まってきたのでお蔵入りしていました。
この夏公開です!
映画を観る楽しみは、ストーリーの面白さは勿論、衣装を見る楽しさにもあります。
前作から10年ぶりの続編は、メリル・ストリープ演じるドナの若かりし日が、その後と平行して語られます。
ドナの若い頃は70年代。
懐かしいABBAの曲に乗せて美しい地中海の景色と衣装を楽しんできました。
マンマ・ミーア
マンマ・ミーア(Mamma mia!)はイタリア語で「なんてこった!」
「Oh my God !」明るく、大騒ぎな感じのする題名ですね。
マンマ・ミーア!1作目はメリルストリープ演じるシングルマザー ドナとパパに結婚式でエスコートしてほしいアマンダ・サイフリット演じる娘ソフィの結婚式前日から当日が描かれていました。
パパの可能性は三人!
この状況を地中海の風のようにカラッと明るく、透明感のあるABBAの曲で綴るミュージカルです。
その2作目の今回は、なぜパパが三人になってしまったのか?ドナの若かりし頃が語られ、同時に前作から数年たったその後も並行して描かれています。
なので、ダイナモスの3人とパパたち3人のキャスティングは1970年代の若かりし頃は今勢いのある若手が、現在は1作目と同じ顔ぶれのベテランが演じています。
70年代のファッション
ドナが若い時代、70年代のファッションテイストを少しおさらいしておきましょう。
・ヒッピースタイル
ベトナム戦争への反戦運動から生まれた自由で開放的なファッション。アイテムは、デニムやTシャツ、つぎはぎ、古着、ベルボトムジーンズ、カラフルな色柄、どこでも座れる感じ。
・ボヘミアン、フォークロアなど民俗調
発展した社会に対しての自然回帰的な民族調ファッション。フリンジ、民族柄、民族衣装のような長いスカート、刺繍
・ユニセックス
ベルボトムのジーンズ、カラフルでぴったりしたシャツ、厚底の靴、長髪。男女の境がないファッション。厚底ブーツ(ロンドンブーツ)デヴィッド・ボウイがはいていましたね。
・パンクロック
セックスピストルズの衣装を手がけたヴィヴィアン・ウエストウッドのパンクロックテイストがロンドンから世界へ大ブームを巻き起こしました。象徴的なのは鋲打ちしたレザージャケット
流行は繰り返しますが、この時代のテイストがいま帰ってきていますね。
キャラクターとファッション
ダイナモスの3人組
ドナ:メリル・ストリープ&リリー・ジェームス
メリル・ストリープ
メリル・ストリープの出世作になった「クレイマークレイマー」
ファッション好きにはこの映画!「プラダを着た悪魔」の様々なファッションの着こなしがすばらしい。
スピルバーグが「今撮るべき作品」と新作を中断して短期間に撮った「ペンタゴンペーパーズ / 最高機密文章」
前作ではオーバーオールを着て歌い踊るメリル・
洋服のテイストに合わせるのに、ヘアースタイルは大切です。
ペンタゴンペーパーズやプラダを着た悪魔のような、
メリル・ストリープの映画を見るとき、つい入り込んだ役作りに見入ってしまいますが、ここぞ!という時の衣装が素敵で「美しい人だな」ということを思い出します。
「ペンタゴンペーパーズ」でのパーティ衣装。この時経営者として重大な決定を下します。凛とした姿と上品な華やかさのあるドレスがよく合っていました。
「好きだなぁ」と思っていたら、「マンマ・ミーア1作目」と「ペンタゴンペーパーズ」の衣装担当はどちらもアン・ロス。
86歳で現役の衣装デザイナー界の重鎮なのです。
1979年のミュージカル「ヘアー」の衣装も担当しているので70年代の衣装はお手のもの。続編のマンマ・ミーアでは70年代の衣装が出てくるので、今回も担当しているかと思ったら、続編はミシェル・クラプトンが担当しています。
リリー・ジェームス
ドナの若い頃はリリー・ジェームスが演じています。
「シンデレラ」では、骨太のシンデレラを演じていました。甘い色のエレガントな衣装だけではなくポップでカラフルな柄も取り入れ、この映画も衣装が面白かった。
歌も踊りも上手い!
全体的にボヘミアンテイストの装いが多かったですね。
ステージ衣装にはロンドンブーツ!
ターニャ:クリスティーヌ・バランスキー&ジェシカ・キーナン・ウィン
クリスティーヌ・バランスキー
ミュージカル映画「シカゴ」で女性記者メアリー・サンシャインを演じています。
出番は多くありませんが忘れられないキャラクターです。
時代は1920年代。「華麗なるギャツビー」や人気ドラマ「ダウントンアビー」の時代のファッションを長身のバランスキーがかっこよく着こなしています。
ディズニーのキャラクターが集合するミュージカル映画「イントゥ・ザ・ウッド」ではシンデレラの継母役
「イントゥ・ザ・ウッド」はメリル・ストリープが魔女役で出演しています。
バランスキーのファッションは女性らしさとクールな雰囲気のバランスが良く、ドラマ「グッドワイフ」での衣装はビジネスでお手本にしたい装いです。
それも富裕層限定!
でもシャープなシルエット。
ジェシカ・キーナン・ウィン
ターニャの若い頃を演じたのは、名優一家に生まれブロードウェイやテレビドラマで活躍中のジェシカ・キーナン・ウィン
パンッ!と張った感じが若々しくてとてもかわいかった。ステージ衣装は手作りという設定。
衣装担当のミシェル・クラプトンは「若いターニャの衣装は60年代、70年代一世を風靡した、懐古的なアールデコ調の柄が特徴のイギリスのファッションブランド BIBA風にした」と言っています。
ロージー:ジュリー・ウォルターズ&アレクサ・ディヴィーズ
ジュリー・ウォルターズ
おなじみは「ハリーポッター」のロンのママ モリー・ウィーズリー役でしょう。
「リトルダンサー」では、バレエの先生ウィルキンソン夫人を好演しました。
マンマミーアでの役どころは料理研究家で出版した本も人気。人情深くて少しおっちょこちょい。衣装は明るい色、開放的なカフタンシャツ。
ジュリー・ウォルターズの衣装に学びたいのは、ちょっとふくよかになった時の着こなしです。
色々隠したくなるので長い丈のチュニックに走りたい。でも、たとえ走ったとしてもサイズ感が大事です。むやみに大きくしないこと。胸から裾にかけて広がるシルエットにしないことです。
こちらは、スリムなバランスキーとの着こなしの違いです。腰に巻いたスカーフはしっかり腰を覆っています。そして、首もとのスカーフは縦長に垂らし視線を縦に誘導します。
アレクサ・ディヴィーズ
ロージーの若い頃はアレクサ・ディヴィーズ
「僕と世界の方程式」では主人公に密かに思いを寄せる数学の天才少女を演じています。
アレクサ・ディヴィーズの衣装はヒッピー風。70年代大流行しました
3人のパパ達
サム:ピアース・ブロスナン&ジェレミー・アーヴァイン
ピアース・ブロスナン
「トゥモロー・ネバー・ダイ」
イギリス元首相を演じたロマン・ポランスキー監督の「ゴーストライター」
カジュアル用のジャケットも春夏用と秋冬用1着ずつあると使えます!
ジェレミー・アーヴァイン
巨匠スピルバーグに見いだされ「戦火の馬」で注目を集めました。
「17歳のエンディングノート」ではダコタ・ファニング演じるテッサを愛する少年を演じ、これからが楽しみな若手俳優です。
今回のマンマ・ミーア、馬が出てくるところやバイクのこの場面はジェレミー・アーヴァインありきでつくられた?
キレイめ紳士のサムも若かりし頃はTシャツを着ています。Tシャツは若さと身体を鍛えている人の特権です。
それでもシャツ姿が多かったですね。
ハリー:コリン・ファース&ヒュー・スキナー
コリン・ファース
ネクタイとチーフ、スーツの色と質感の組み合わせに惚れぼれします。
ヒュー・スキナー
「レ・ミゼラブル」でアマンダ・サイフリッドと共演
「スターウォーズ 最後のジェダイ」でもアミリン・ホルドの側近の将校として少しだけ出演しています。
さすがにまだスーツは着ていません。
ビル:ステラン・スカルスガルド&ジョシュ・ディラン
ステラン・スカルスガルド
パイレーツ・オブ・カリビアン
キャプテンバルボッサに逆らって海の底に沈められた海賊「靴ヒモのビル」
オーランド・ブルーム演じるウィル・ターナーの父親ビル・ターナーを演じています。
「シンデレラ」では悪役でリリー・ジェームスと共演
ジョシュ・ディラン
ブラッド・ピット、マリオン・コティヤールが共演した「マリアンヌ」で映画デビュー。若い工作員を演じています。
この映画もマリオン・コティヤールの衣装が素敵でした。
歌やダンス、楽器が得意。ヨットの上を所狭しと踊り回ります。
老舗ブランドには歴史的な人気モデルがありますね。
ジョシュ・ディランが着ているこのダークトーンボーダーは、イタリアの老舗ジチピの人気カットソーかな?
若いパパ達は、70年代のファッション全開か?というとそうでもありませんでした。でも、わたしはそれで良かったかなと思います。
若いイケメンパパ達が、当時の流行とはいえ、ヒッピーテイストやピタピタのシャツにベルボトムでは「ドナが惹かれてもしょうがないよね」と、すんなり入っていけなかったと思います。
若夫婦
ソフィ:アマンダ・サイフリッド
今を演じたアマンダ・サイフリッドは前作のマンマ・ミーアに引き続き出演
レ・ミゼラブル
娘のコゼット役では美しい歌声でした
ドナが若い時によく着ていたポンチョ
スカイ:ドミニク・クーパー
ゴージャスなカップル
この映画で公開前から話題になっていたのは「この人」が「あの歌」を歌うということ。
ルビー:シェール
「月の輝く夜に」
コートを脱いでワンピースドレスになったとき、ニコラス・ケイジが「ありがとう」と言うのですが、私も思わず「ありがとう」と言いたくなる美しさでした。
でもかっこいい!
セニョール・シエンフエゴス:アンディ・ガルシア
シェールのお相手だからこの方くらいじゃないとね。
ゴッドファーザー パートⅢ
私の母が公開時、アル・パチーノ目当てでひとりで映画を観に行き、「アンディ・ガルシアが若くてよかった~」と言っていたのを思い出します。
謎に包まれたホテルの支配人。年を重ねても濃い顔立ちにアスコットタイがとてもよく似合います。
まとめ
主要な登場人物が多すぎて、昨年秋にいいえ、冬近くになっても仕上がらずでした。
まとめは短めに致しましょう。
今回はリリー・ジェームスとアマンダ・サイフリッドが歌う曲が多く、歌唱力抜群の二人がミュージカルとしてのクオリティを上げています。
最後にシェールの「フェルナンド」
どっかーん!と打ち落とされた感じ。
それにしても豪華俳優陣が一堂に集まり、普段の緊張感あるスパイ映画やシリアスな社会派映画をはなれて、生き生きと楽しそうに演じている様子が伝わってきます。
それは「ABBA」の音楽とギリシャのスコペロス島の背景があるからこそだと思います。
ABBAはスエーデン出身のグループですが地中海がよく似合いますね。
「ダンシング クイーン」の場面では、危うく立ち上がって踊り出したくなりました。
開放的で夏にぴったりの映画です。
それでは、ABBAのなつかしい映像とスコペロス島の画像でお別れです。
お疲れ様でした!
Style Season 黒滝伊都子