衣装をお手本にしたい宵っぱりシネマ~ラ・ラ・ランド&~

まだ子どもたちが小さかった頃,土曜の夜に子どもたちを寝かせたあと、夫婦で宵っぱりをして映画のビデオを観るのが楽しみでした。休日前の開放感。これから画面の中に映し出される見たことのない世界への期待で胸が高鳴りました。
そして今も週末に限らず宵っぱりをして映画を観ています。

劇場に観に行った映画については「寄り道シネマ」という記事に書いていますが、こちらはそのライト版。ジャンル、新作、旧作を問わず、私が「この映画のこの装い、このしぐさ、この住まい方は取り入れたいな」とお手本にしたい場面を切り取ってお伝えします。

今回は2016年公開のミュージカル「ラ・ラ・ランド」と1964年公開のミュージカル「シェルブールの雨傘」
半世紀の時を越えたこの2本の映画には素敵な装いの共通点があります。
その中にぜひお手本にしたい装いがありました。

ちなみに、紹介した映画は全て観ています。映画.comのURLをつけたので、映画案内としてもご利用ください。

ラ・ラ・ランド

「ラ・ラ・ランド」は2016年公開のミュージカル。アカデミー賞では「タイタニック」にならぶ14ノミネートを受け、6部門を受賞しました。監督賞のデイミアン・チャゼル監督と作曲賞を獲得したジャスティン・ハーウィッツは、ハーバード大学でルームメイトでした。卒論の一部として二人でミュージカル映画を制作しています。

冒頭の高速道路でのダンスシーンではミュージカル好きの血が騒ぎましたね。

https://eiga.com/movie/82024/

デイミアン・チャゼル監督

1985年生まれ。最年少のアカデミー賞監督。前作の「セッション」の成功、「ラ・ラ・ランド」の大ヒット、「ファーストマン」と、今ノリに乗っている監督です。

では、チャゼル監督の作品を2つご紹介しましょう。

「セッション」

https://www.imdb.com/title/tt2582802/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

名門音楽学校に入学したドラマーと鬼教師との狂気のスパルタレッスンを描いた映画。監督自身が高校時代に受けたドラムのレッスンがこの映画に繁栄されています。

https://eiga.com/movie/80985/

「ファーストマン」

https://www.imdb.com/title/tt1213641/mediaindex?page=1&ref_=ttmi_mi_sm

アポロ11号で月面着陸を果たしたアームストロングの伝記をもとに、栄光だけではない影の部分も描かれています。

https://eiga.com/movie/88164/

Story

https://www.imdb.com/title/tt3783958/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

見た方も多いと思いますが、ざっとおさらいです。
女優の卵でオーディションを受け続けている「ミア」と「本物の」ミュージシャンを目指しているけれどなかなか仕事に恵まれない「セブ」との恋と夢の実現を描いたミュージカル。

キャスト

主演のふたりは?

ライアン・ゴズリング / セブ

https://www.imdb.com/name/nm0331516/mediaindex?page=12&ref_=nmmi_mi_sm

カナダの俳優でミュージシャン。ディズニーチャンネルの子役としてデビュー。大人になってからは「きみに読む物語」で注目を集めました。

ゴズリングの出演作品を2つ。

「きみに読む物語」

https://www.imdb.com/title/tt0332280/mediaindex?page=1&ref_=ttmi_mi_sm

身分違いの恋を貫く、一生をかけた深い愛情の物語。この映画で、静かな強さを表現したゴズリングの演技が注目されました。

https://eiga.com/movie/1570/

ファーストマン

https://www.imdb.com/title/tt1213641/mediaindex?page=1&ref_=ttmi_mi_sm

チャゼル監督とは2度目のタッグを組み、アームストロング船長を演じました。

https://eiga.com/movie/88164/

エマ・ストーン / ミア

https://www.imdb.com/name/nm0331516/mediaindex?page=12&ref_=nmmi_mi_sm

11歳から舞台に立ち、テレビキャリアを経て映画の世界へ。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」では素行不良で更生中の主人公の娘役でアカデミー助演女優賞にノミネート。

では、エマ・ストーンの出演映画を2つご紹介します。

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

https://www.imdb.com/title/tt2562232/mediaindex?page=2&ref_=ttmi_mi_sm

かつてスーパーヒーロー映画で大人気を得たけれど、今は家庭も仕事も失った落ち目の俳優が再生をかけて舞台にのぞむ!主演はティム・バートン版「バットマン」のマイケル・キートンというのがおもしろい。クラシック音楽の使い方が好みでした。

https://eiga.com/movie/81227/

女王陛下のお気に入り

https://www.imdb.com/title/tt5083738/mediaindex?page=1&ref_=ttmi_mi_sm

フランスと戦争の渦中にあった英国の女王陛下の寵愛を受け、没落した家を再興するために激しい闘争に身を投じていくアビゲイル役。鬱屈した雰囲気がリアルに伝わってきました。

https://eiga.com/movie/89555/

シェルブールの雨傘

いまやフランス映画の古典となったジャック・デュミ監督のミュージカル。美人だけど、まだあどけなさが残るカトリーヌ・ドヌーブの魅力が全開!

https://eiga.com/movie/54203/

ジャック・デュミ監督

フランスの監督。1950年末におこったフランス映画運動「ヌーヴェルヴァーグ」の左岸派として知られています。

デュミ監督の他の作品を2つご紹介。

「ローラ」

https://www.imdb.com/title/tt0055093/mediaviewer/rm1603601664

「ヌーヴェルヴァーグの真珠」と謳われるドゥミ監督のデビュー作。監督の故郷、港町ナントを舞台に人々の出会いとすれ違いを描いた作品。アヌーク・エーメの踊り子姿、白っぽいワンピース姿が美しい。

https://eiga.com/movie/50971/

「ロシュフォールの恋人たち」

カトリーヌ・ドヌーヴとドヌーヴの実姉で夭折したフランソワーズ・ドルレアック、ジーン・ケリー、ジョージ・チャキリスなど仏米のスターが共演。海辺の町ロシュフォールの年に一度の祭り前後を描いたミュージカル。

https://eiga.com/movie/54204/

Story

https://www.imdb.com/title/tt0058450/mediaindex?ref_=tt_mv_sm

アルジェリア戦争中のフランス。港町シェルブールに住む将来自分のガソリンスタンドを持ちたい20歳の自動車整備工と17歳の雨傘屋の娘の恋物語を、台詞のない全編歌で綴るミュージカル。ミシェル・ルグランの曲が大評判になりました。

キャスト

主演は何といってもこの人!

カトリーヌ・ドヌーヴ

フランスの女優。「シェルブールの雨傘」で世界的スターになりました。
2019年是枝和監督の映画「真実」で自伝を出版するフランスの映画スターの役を演じました。
https://eiga.com/movie/89504/

ジャック・デュミ監督とは他に「ロバと王女」https://eiga.com/movie/52642/「モン・パリ」https://eiga.com/movie/50204/の全部で4つの作品に出演しています。

ドヌーヴの出演作品はとてもたくさんありますが、その中から2作品をご紹介。

「昼顔」

https://www.imdb.com/name/nm0000366/mediaindex?page=1&ref_=nmmi_mi_sm

上級階級の婦人が昼間お客を取る、という官能的な内容とは裏腹にイヴ・サン=ローランの上品な衣装が今も人気です。

https://eiga.com/movie/48477/

「インドシナ」

https://www.imdb.com/name/nm0000366/mediaindex?page=1&ref_=nmmi_mi_sm

仏領時代のインドシナを舞台に、同じ男性を愛してしまったフランス人女性とその養女の運命を独立運動を絡めて壮大に描いています。ドヌーヴが凛としてとても美しい。

https://eiga.com/movie/42525/

再会はスタイリッシュに

「ラ・ラ・ランド」と「シェルブールの雨傘」の衣装の設定がよく似ています。

衣装はカラフル

どちらの映画も全体的な色彩がとても鮮やかです。衣装もカラフル。

「ラ・ラ・ランド」

https://www.imdb.com/title/tt3783958/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

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ミアだけでなくセブのネクタイもカラフル

「シェルブールの雨傘」

https://www.imdb.com/title/tt0058450/mediaindex?ref_=tt_mv_sm

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再会は黒いドレスで

どちらの映画も再会の場面では黒い衣装を着ています。

「ラ・ラ・ランド」

https://www.imdb.com/title/tt3783958/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

「シェルブールの雨傘」

ドヌーヴはコートを脱がないので中の衣装は見えないのですが「黒い服を着ているね」という台詞が出てきます。

ベイシックカラーはスタイリッシュ

カラフルな衣装の後に黒などのベイシックカラーを着ると、ぐっと大人びて洗練されて見えます。

「久しぶりに会う人にはどう見られたいか?」という演出をする場合、特に、若い頃会って以来の人と会うときは、スタイリッシュに洗練されたように見せたいと私は思います。
なので、普段は色や柄を取り入れるといいよとお伝えしていますが、この場面ではモノトーンやベイシックカラーで、すっきりしているけれど、どこかに凝ったデザイン性のある装いが素敵だと思います。

同窓会など、ある意味勝負服なので、自分に似合うベイシックカラー、形、素材を選びたいですね。
黒のような濃い色が苦手な方はこんなミアの衣装も参考になりますよ。

https://www.imdb.com/title/tt3783958/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

まとめ

小学生の頃、テレビで「シェルブールの雨傘」を観たとき、鮮やかな色彩やカトリーヌ・ドヌーヴの美しさ、衣装に憧れて、「私も傘屋さんになる!」と学校の作文に書きました。
そして、再会の場面のはっとするような大人っぽさ。「黒を着ると大人っぽくなるんだな」と、いつか黒いドレスを着こなせる女性になりたいと思いました。

それから何十年もの時が過ぎ、「ラ・ラ・ランド」でミアがぐっと大人っぽくなり、洗練されて出てきたとき、「シェルブールの雨傘」を思い出しました。チャゼル監督はフランスのミュージカルもアメリカのMGMなどのミュージカルもひっくるめて、大いなるオマージュを込めて「ラ・ラ・ランド」を制作しました。

「ジャック・デュミの少年期」https://eiga.com/movie/45349/という、妻で映画監督のアニエス・ヴァルダが撮った映画があります。幼い頃から映画が好きで好きでたまらず、あるもので工夫して映画を撮っていた少年期を温かく見守るように描いた作品です。その情熱を若いチャゼル監督も受け継いでいるのでしょうね。

https://www.imdb.com/title/tt3783958/mediaindex?ref_=tt_pv_mi_sm

Style Season 黒滝伊都子

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