ワードローブづくり、最初の難関はすでに持っている洋服をどうするか?
自分に似合うものがわかり、似合うバランスもわかり、それを軸にワードローブを組み立てようと心も新たにとりかかる。
でも、今まで洋服を1枚も持っていない人はいないので、さて持っているものをどうしようか?という壁に突き当たります。
今まではなかったことにして、まったく新しいワードローブを構築したいと思うかもしれませんが、いえいえ、今まで持っているワードローブは自分の「好き」や「癖」を知る宝箱なんです。
ワードローブの中は今までの決断の積み重ね
客観的な「似合う」がわかったら、次は主観的な「好き」や「癖」を意識してみましょう。
「似合う」についてはこちらをご覧ください。
今までワードロブに招き入れてきたものは、たくさんのものがある中で私たちが選び取ってきたものです。とても気に入っているものも、忘れ去っているものも、みんなその時その時の自分の決断で選んだものです。
まずはワードローブを眺めながら「これが私なんだな」と受け入れてしまいましょう。正しい判断ばかりではなかったとしてもいいではないですか。その時はそういう気持ちだったのです。
受け入れたあとは、「いったい私はその時どういう気持ちだったのか?」少し俯瞰して考えてみましょう。
ワードーローブの2つのタイプ
よく頂くワードローブのお悩みは大きく2つにわけられます。
・ いつも同じ感じになってしまう
・ 洋服はたくさんあるのに着るものがない
いつも同じ感じ
「いつも同じ感じになってしまう」という方のワードローブの特徴はおもに2つあります。
・好みがとてもはっきりしている
・無難だから選んでいる
どうしても惹かれる
今までのワードローブの中に、なぜだか同じ色が多い、同じ形が多いというものはありませんか?あったとしたら、それはどうしても惹かれるものです。気になって仕方がなくて持っているのに買ってしまうのですね。
「私は××が好き」
ブルーばかり、ボーダーばかり、ワンピースばかり…
そればかり選ぶのは「好き」だからですよね。「ああ、私はこんなにブルーが好きなんだなぁ」と声に出して認識してみてください。好きなものがはっきりしているのはいいことです。「好き」は「個性」です。問題があるとすれば、自分の「好き」が取るに足りないと思ってしまうことです。
「どんな××が好き?」
そして、どんなブルーでもブルーならみんな好きなのか?ブルーの中でも晴れた空のようなブルーか?南国の海の色のようなグリーンがかったブルーなのか?好きなブルーの傾向があったらそれも覚えておいてください。
ボーダーであれば太さ、ボーダーの入り方に好みがあるのか?
花柄なら小花柄か、大柄か?水彩画のような柔らかい柄か?くっきりとした柄か?
好きな色や柄、形の特徴を探してみてください。
「なぜ惹かれるのか?」
私には大好きなスカートがあります。もう15年くらいはいていると思います。夏用の少し麻の入ったAラインの膝下丈、赤系の地にオフホワイトの大きめのペイズリー柄がプリントされたスカートです。ショップにこの色合いこの柄のスカートがあると目がいってしまう自分に気づきます。柄物や丈感がトレンドでない時ははかない年もありますが、どうしても取っておきたいお気に入りのスカートです。
特別高価だったわけではありません。なぜ惹かれるのか考えてみたのですが、子どもの頃、母が好きでよく作ってくれたスカートやワンピースの柄なんですね。伝統的な柄なので時代を越えて繰り返し商品化されます。母が「これは素敵ねぇ」と言っていた色や柄はどこかにインプットされているようです。
なぜ惹かれるのか?理由がわかるとわくわくしたり暖かい気持ちになったりします。そして、分析ができるとやみくもに「好き」に突っ走らなくなり、自信にもなります。
感覚的に好きというものも多いと思いますが、忘れていたストーリーを思い出すかもしれませんね。
何にでも合いそう
「いつも同じになってしまう」ワードローブの特徴のもうひとつは「これなら何にでも合いそう」という判断で買い物をしている場合です。コーディネートには背景になる色やアイテムが必要なので、ベイシックなものを基本に組み立てることをおすすめしています。
なので、「何にでも合いそう」なものは必要なものです。ただ、「これがいい」と選んでいるのではなく、「これなら無難だから」で選んでしまうと、その後のコーディネートに大きな差が出ます。
自分の好みに自信が持てない場合もこのパターンで選んでいる場合が多いですね。
無難な色
無難な色としてすぐに思いつくのが、黒、グレー、ベージュなどのベイシックカラーです。今までのワードローブの中にこれらの色が多く、特に「好き」で選んでいない場合は、無難だから選んでいるのかもしれませんね。
無難な色を選ぶ時、筆頭に来るのが「黒」でしょう。トップス、ボトムス、タイツや靴、鞄などの小物類などで、取り敢えず黒を選ぶという場面が多いかもしれません。でも、黒って主張が強いので、意外に色合わせが難しいのです。
また、黒の一色コーデで不祝儀感を出さないためにはそれなりの技が必要です。やりすぎると派手になりすぎるし、足りないと黒子のように存在感のない人になってしまいます。黒に限らず、ワントーンコーデを素敵に見せるにはコツが必要です。
どんな色を無難な色と捉えているのか?ワードローブの中を捜索してみてください。
無難なアイテム
色だけでなく、無難な形やアイテムもあります。ベイシックなTシャツや丸襟、Vネックセーター、プレーンなシャツやパンツ、スカートなど。
これらも、ワードローブの基礎をつくる大切なアイテムです。
Tシャツにも色々あって、襟まわりの太さ、縫製の仕方、素材などによって雰囲気が変わります。
襟まわりが太くマットな素材だとカジュアルな雰囲気になり、襟まわりが細く光沢感のある素材だとキレイめで仕事着にもなります。
どんなアイテムや形が多いかも確認してみましょう。
洋服はたくさんあるのに着るものがない
「洋服はあるのに着るものがない」ワードローブの特徴も2つ
・色やテイストが多様で混沌としている
・平常心でない時に買い物をしている
みんな好きで選べない
気が多すぎてワードローブの中が混沌としていませんか?
色で迷う
私は嫌いな色がありません。みんな好きなので、若い頃は同じ形、柄のニットなどを色違いで2枚買っていました。色の違いで雰囲気が変わり、どちらも素敵で選べなかったのです。なので、私のワードローブは色にあふれていました。
でも、結果としてよく着るニットはどちらかに決まっていました。それにいくら色違いでもデザインや柄が同じだと「また着てる」ような気分になります。
いつも色で迷ってしまい、またはトレンドカラーに反応してしまい、色であふれているワードローブではありませんか?
テイストで迷う
テイストがバラバラで組み合わせが効かないこともあります。
今日も明日も同じ場所で同じ人に会うという場合、何か変えなくてはいけないような気持ちになりませんか?
「今日はバリバリ仕事ができるクールな私」「明日は女性らしいソフトな私」
でも、そんなに頑張らなくても大丈夫。
テイストは基本マンネリで良いのです。
まずは「あなたらしいね」というスタイルを見つけることが大切です。
テイストが違いすぎてほとんど着ていない洋服はありませんか?
なんでこれ買ったかなぁ?
いつもと違う心持ちの時に買い物をすると、いつもは選ばない色や形、アイテムを選んだりします。大当たりの時もあるので一概に悪いとは言えないのですが、「何でこれ買ったかなぁ?」と自分で自分がわからなくなることが多く、ワードローブが混沌とします。
何か買いたい欲求
どこかタガが外れてしまっていて、欲求を買い物で満たしているのかも!と感じたら、その時は大きな買い物はもちろん、衣類などは買わずに美味しいものを買って帰りましょう。
今すぐに着られない!
買うときすでにサイズが合っていなかったもの。自分のサイズの増減で着られなくなったもの。「痩せたら着れる」と取ってあるけれど今すぐには着られないというものはありませんか?
染み抜きに持って行きたいものや、ほつれて直さなければならないものも今すぐに着られないものですね。
痩せてその洋服が着られたらそれは嬉しいですよね。そのかわり今この瞬間からダイエットできるか?を考えてみましょう。
今すぐに着られないものがワードローブのどのくらいを占めているでしょうか?
まとめ
今までのワードローブは自分発見の宝箱
◇いつも同じ感じになってしまう
・惹かれて同じようなものを選ぶ
・無難で便利そうだから選ぶ
◇洋服はたくさんあるのに着るものがない
・多くの色やテイストであふれている
・平常心でない時に買ったものがある
どんなタイプでしたか?
複合的な場合も多いでしょう。
ワードローブは100人いれば100通りあります。客観的な「似合う」と主観的な「好み」を知って上手くバランスを取ると素敵で心地よいワードローブになります。
今までの自分を抱きとめる感覚で、まずはこれまで選んできたワードローブを見つめてみてください。
Style Season 黒滝伊都子