自分で自分をご機嫌にする方法 3~心の奥深くを動かしてみる~

自分で自分をご機嫌にする方法最後は「心の奥深くを動かしてみる」です。

その1「寄り道」はこちら。

自分で自分をご機嫌にする方法 1~寄り道~

その2「妄想」はこちら。

自分で自分をご機嫌にする方法 2~妄想~

今すぐやらなければならない事ではないかもしれません。仕事とは直接関係がないかもしれません。でも、私はこの「心の奥深くを動かしてみる」ことはとても大切だと思っています。
さて、どんなことだと思いますか?

心惹かれるモノに触れてみる

すぐに実感があるわけではないけれど、心のどこかにずっと残っていて何かの拍子に思い出すコトやモノってありませんか?大切なことは目の前にあるとは限りません。意識の下にたくさん眠っている何かを刺激してみましょう。

みなさまは何に心惹かれますか?

サッカーのワールドカップロシア大会。我が家は息子が二人いるのに誰も見ていませんでした。ただ、夫の母は日本戦だけでしたが夜中も見ていました。日本が負けた後はテニスのウィンブルドンで錦織選手の応援です。私はハラハラドキドキに耐えられませんが、母はその場にいてハラハラドキドキも楽しみ、その結果の感動をリアルタイムに味わいたい人なのです。母の心が動く瞬間なのでしょう。そのせいか80半ばにさしかかる母はとても若いです。

芸術に触れてみる

私はアートに心惹かれます。
「芸術」といってもそう難しく考えることはありません。色々な興味の持ち方があると思いますが、私は「これは好きだな」というのが基準です。クラシック音楽もポップスもロックも、ダ・ヴィンチもゴッホも漫画も…まず見て聞いて「好きだな」「気になるな」と思ったら、そこから今度は詳しく「知りたくなる」

例えば、ある日の絵画とのふれあい

有名なモネやドガの絵画も北斎の浮世絵も北斎漫画も観たことはありました。でも、こういう視点で展示を見ると別々だったものが繋がってとても面白かった。この展示は北斎に魅せられた西洋の画家達がどのように浮世絵などを自分の表現に取り入れていったかを対比させて展示していました。いつも仕事帰りに夜間開館の美術館に寄り道をするのですが、それではとても時間が足りませんでした。

北斎は人や動物、物に対しての鬼気迫る観察眼があってこそのシンプルな表現。そして大胆な構図、あの躍動感!新しい表現を模索していたヨーロッパの画家達を驚かせたのです。

アニメーション監督の高畑勲さんは、遺作になった「かぐや姫の物語」でもある挑戦をしていたと言います。CGを使ったアニメーションの写真のような背景に驚きますが、それに対して高畑さんはどこまでシンプな線で表現出来るかに挑戦していました。そこであの「かぐや姫の物語」になったのですね。はじめはよりリアルな線を追求していたのだと思います。世界名作劇場やスタジオジブリではそれまでにはなかった細やかな表現 を目指していました。精密を極めた後にシンプルを求めたくなるということなのでしょうか。

https://movies.yahoo.co.jp/movie/

例えば ある日の伝統芸能とのふれあい

永石着付け教室のお誘いで能装束の着付けレクチャーに行ってきました。場所は代々木能舞台。ナビゲーターは能楽師の浅見慈一さんです。難しいと思われがちな能の世界をわかりやすく解説してくれます。

この日は友人がジャンケンに勝ち残り、能装束の着付けをしてもらいました。
猛暑にもかかわらず大勢の方がいらしていました。着物の方が圧倒的に多かったですね。

私がカラーに興味を持ったきっかけは、伝統芸能の装束の美しさに魅せられたからです。配色や絵付けにほれぼれします。なので少しずつ着物のことや日本の伝統芸能についても学び始めました。知りたいことは尽きません。

9月に上演する「小袖蘇我」という演目の衣装を見せてもらいました。配色にも意味があり、年配の女性の衣装は紅無し(いろなし)と言うそうで、赤が入っていません。

曾我兄弟は写真の藍色と黄色の装束だそうです。補色コーディネートで舞台に映えるでしょうね。

例えば、ある日のバレエとのふれあい

私はバレエ鑑賞が趣味です。子供の頃少しだけ習っていたのでバレエの舞台に連れて行ってもらいました。夢のような世界でした。そして今も、舞踏、音楽、美術、衣装の舞台芸術に惹かれています。舞台にも行きますし、舞台を映像にしたライブビューイングにもよく行きます。

ボリショイバレエの女王ザハーロワと夫でバイオリニストのレーピンが贈る「トランス=シベリア芸術祭」in Japan 2017

https://spice.eplus.jp/articles/128686

ザハーロワとレイピン、相手役の若手ロヂキン

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_trans_siberian/topics/487.html

表現活動をしてみる

先日、ライフワークにしている朗読会に参加しました。
朗読を始めたのは10年以上前。音楽教室の発表会で「くるみ割り人形」の絵本を読む事になったのがきっかけでした。

自由が丘の「鈴木優朗読・自己表現教室」基本は個人レッスンで、年に数回朗読会を催します。秋の朗読会は一番大がかりなモノで、今まで軽井沢のプラネタリウム貸し切り公演、長野のお寺の本堂での公演、浅草の寄席公演、お酒を飲みながらのバー公演、ハワイ公演…など、バラエティ豊かな企画で、出演者一人一人の個性を引き出す演目が並びます。

NHKのドラマでも朗読が取り上げられたりして、興味を持たれる方が増えてきたようですね。私はどんなに忙しくてもこの秋の朗読会だけは参加してきました。なぜかというと、心の奥深くが動く感じがするんです。少なくとも年に1回はこの感じを味わいたい!元々音楽やダンスなどの自己表現が好きではありました。舞台の緊張感や終わった後の開放感、達成感は一度味わったらやめられません。

舞台に上がるには趣味といえどもそれなりの準備をします。この作品をどう表現しようか?優先生は、時間のない社会人を相手に、叱咤激励しながら表面的ではない心の奥深くにある何かを引き出そうとしてくれます。舞台に立つとそれが動いて自分で意識できるようになります。これはとても大切な感覚だと思っています。

舞台だけではありません。
旅行でも良いし、大好きな趣味でもいい。それを受け取るだけではなく表現してみては如何でしょうか?旅行記、写真集、何かの作品等々。
仕事や日常に追われ、忙しい毎日だからこそ、日常を離れた心が動く体験が必要なのではないかと思います。リフレッシュしてご機嫌になれるし、心が動くと発想が豊かになります。
仕事にも生かされるでしょうね。

昨日知らなかったことを知ること

「昨日と違う自分でいたい」というのが毎日の目標です。そんなに大げさなことは考えていません。高望みもしていません。小さな事でも昨日知らなかったことを今日は知っている事にわくわくして、その積み重ねが自分をご機嫌にするのです。

「これ好きだな」と感じたら深く知りたくなる

渋谷のBunkamuraでは映画を観たり、美術展を観たり、バレエ、舞台を観たり。これらが1カ所で観られるのが魅力的です。それに映画館ル・シネマでは芸術系に興味がある方にはちょっと面白い映画を上映しています。(2018年11月まで全館改装中)

ある日の寄り道シネマはバレエ リュス100年を記念して上演されたパリ オペラ座の舞台を映像にした映画。
「これは面白い」「好きだな」と思ったので興味が湧きもっと知りたくなりました。そこで、少し調べてみました。

バレエ リュスとこの日の演目

バレエ リュス(ロシアのバレエ)は偉大な興行師でプロデューサーのディアギレフ率いるバレエ団。といっても、ボリショイバレエのように劇場を持たずロシアの芸術を欧州に広めるためにはじめ、パリで興行を行います。100年余前、様々な芸術家達がパリに憧れパリを目指しました。

音楽をストラヴィンスキーやプロコフィエフ。レオン・バクスト、マティス、ピカソが舞台美術や衣裳を担当し、コクトーが脚本を書き、ニジンスキーやアンナ・パヴロワが踊る奇跡のバレエ団!シャネルも魅了された一人で、資金面からも舞台衣裳も手がけることによってもバレエ リュスを支えました。これは単なるロシアのバレエに留まらず、世界の芸術に影響を与えました。

今回は4作品を初演のままに、パリ オペラ座のスターダンサーがパリ オペラ座管弦楽団の素晴らしい演奏で踊っていました。

薔薇の精

曲はウェーバーの「舞踏への勧誘」舞台、衣裳はバクスト。全身ピンクタイツのエイマン。

初演はニジンスキー

このニジンスキーを見て多くの人が魅了されてしまったそうです。

コクトーが書いた
ニジンスキー「薔薇の精」のポスター

牧神の午後への前奏曲

音楽はドビュッシー
舞台、衣裳はバクスト

バクストのデザイン画

ニジンスキー自らの振付けで自演。当時は物議を醸した振付けです。

三角帽子

音楽はファリャ。舞台、衣裳はピカソ

ピカソが描いた舞台のデザイン画

ピカソの衣裳デザイン画

ペトルーシュカ

音楽はストラヴィンスキー。舞台、衣裳はアレクサンドル・ブノワ

子供の頃読んだペトルーシュカの物語が切なくて、久しぶりに思い出しました。ストラヴィンスキーはこの間、火の鳥、春の祭典、ペトルーシュカと3大バレエを作曲しています。

バレエ リュスと舞台衣裳

バレエ衣裳はファッションにおいても多くの影響を与えました。

リムスキー・コルサコフのシエラザード。このハーレムパンツとターバンが大流行したそうです。

音楽、美術、衣裳、文学、舞踏の融合。バレエは魅力的です。「好きだな」と思ったバクストの舞台や衣裳のデザイン画です。

世界文化社「バレエ・ヒストリー」より

これは「眠りの森の美女」の舞台、衣裳デザインです。それまではもっと淡い色の舞台だったようですが、この鮮やかな色彩に当時の人達もワクワクしたでしょうね。バクストのデザイン画を見ていて天野喜孝のFFキャラクターデザインを思い出すのは、私だけでしょうか?

バレエ リュスはディアギレフの死と共に夢のように消えていきました。でも、それがあったから今がある!今を知るためにそのモノの「はじめて物語」を知るのも面白いですね。

パワーのある人からパワーをもらう

ある日、ミューザ川崎シンフォニーホールで友人が所属するオーケストラのコンサートが行われました。友人というのは、若い時ブラスバンドに現(うつつ)を抜かしていた頃の、かつての音楽仲間です。

ミューザ川崎シンフォニーホールサイトより https://www.kawasaki-sym-hall.jp/

「ミューザ川崎の音響設計した人知ってる?」と夫が言うので、「知らない」と答えたら、現在世界で引く手あまたの音響設計家 豊田泰久さんの話しをしてくれました。この方は、日本で初めて舞台を取り囲むように客席を配置するワインヤード型のホール「サントリーホール」の音響設計を担当した人です。

サントリーホールサイトより http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/

世界のシンフォニーホールのほとんどはこのワインヤード型を採用しているため、豊田さんは、ちょうど建て替えラッシュの世界のシンフォニーホールの音響設計を次々と依頼されている日本人なのです!

こんなに世界で活躍している日本人の音響設計家がいたなんて知らなかったと感動して自分でも調べてみました。

世界に広がる友達の輪

そこには、世界を股にかけた友達の輪が広がっていました。

友達の輪の発端は、来日してサントリーホールの響きに感動したポーランドのピアニスト ツィメルマンが、豊田さんを探し当て電話をかけたところから始まります。つづいて、ツィメルマンから話を聞いていた亡き伝説のオーケストラマネージャー アーネスト・フライシュマンからロサンゼルスフィルの本拠地としてのウォルト・ディズニー・コンサートホールの音響設計の依頼がありました。海外での初仕事です!

さらに、ロシアのマリインスキ-劇場の音楽監督ゲルギエフからのコンタクト。ゲルギエフのお気に入りは札幌コンサートホールKitara

札幌コンサートホールKitaraのサイトよりhttp://www.kitara-sapporo.or.jp/

こちらも豊田さんの音響設計

更に更に、マリス・ヤンソンス、ズービン・メータ、サイモン・ラトル、ダニエル・バレンボイム…
きら星の如くの指揮者や建築家との「友達の輪」が広がっていきました。仕事ってこうやって広がって行くんですね。
豊田さんも、九州芸術工科大学(現在は九州大学と合弁)音響設計学科に入学した時には「マイナーな仕事でどんな仕事か良く分からなかった」と言っているので、今の状況は予想もしていなかったかもしれません。

成功の理由は?

成功の理由は何でしょう?もちろん、豊田さんに才能があったのだと思いますが…

◇「ワインヤード式コンサートホールならこの人!」という第一人者になったこと。

◇市場が世界に広がったこと。

アメリカ、ロシア、イタリア、ドイツ、ハンブルク、ポーランド、フランス、中国、イスラエル…本当に世界中です!

◇「サントリーホール」の最初の仕事で最高のパフォーマンスをした事が次の仕事に繋がった。

オープン当初は、日本の演奏家がホールの響きに慣れなくて批判が多かったそう。「悪夢だった」と豊田さんは振り返ります。でも、似ている音響環境で演奏しているベルリンフィルがサントリーホールで素晴らしい来日公演を行いました。日本のオケも「少し様子を見よう」と言うことになったそうです。
仕事の結果とはすぐには出ないモノなんですね。その間の忍耐が必要。

◇他分野の専門家と信頼関係を築くことが出来ること。

音響設計は建築家、音楽監督はもとより、電気設備、空調設備、そのホール専属のオーケストラの人達、諸々の専門家と連携を取りながら仕事を進めるそうです。
どんなピアニッシモもマイクを使わずに一番後ろの席のお客さんに届けることが出来る。ホールは楽器と同じ。空調の音が微かに聞こえていてもダメなんですね。そうしたら空調の専門家とサイレンサーについて話し合う。
匠の技と言われているけれど、黙々と職人気質の仕事をしているのではなく、こうやってコミュニケーションを取って最終的に最高の作品を作っているのです。

◇「いい音」へのこだわり…最大公約数は自分の好み

「万人の耳を満足させる音を作るのは大変ではないか?」という問いに、「個人のリスニングルームを作る方が大変」と豊田さんは答えています。「いい音」は主観的な物でひとつではない。だから万人に向けた音ということは、特定のターゲットがいないということ。つまり自分の好みで作るしかないのだそう。みんなの好みを満足させると考えるとプレッシャーだけれど、結局は自分のこだわりなんですね。豊田さん自身が相当な「いい音」へのこだわりを持っているのだと思います。

◇めちゃくちゃ好きなことと専門性が融合したこと

豊田さんは中学生の時にレコードでシューベルトの「未完成」を聴いて音楽に目覚めたそうです。中学ではブラスバンドでサックスを、高校、大学ではオーケストラでオーボエを…演奏家になる…とは思わなかったけれど、とてもとても音楽が好きだった。理系が得意なのと音楽に関わる仕事がしたい、ということで両方を併せ持った音響設計学科に決めたそうです。めちゃくちゃ好きなことと専門性が融合して花開いたんですね。プレッシャーをしのぐわくわく感がある仕事をしているのだと思います。

http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1037118.html

2017年1月にオープンしたエルプフィルハーモニー・ハンブルク

日本が本格的に西洋音楽を取り入れたのは明治時代になってからです。専門音楽教育が始まったのが明治20年前後。それから130年たった今、より良い環境で音楽を聴くために非常に重要なホールの音響設計で、世界で活躍する日本人がいる。豊田さんの成功には私達の仕事の上でも参考になる事がたくさんあると思いました。同じ日本人として豊田さんを誇りに思うと共に、背中を押された思いがします。その人を知ってそのパワーを受け取ると元気になります。

まとめ

心の奥深くを動かしてみる方法

◇心惹かれるモノに触れてみる

◇表現活動をしてみる

◇昨日知らなかったことを知る

こんな些細な事をしても仕方ない。遠くまで行かないと旅とは言えない。私達はつい大きな事をしなくてはならないと思ってしまいます。でも、些細なことにも喜びがあり、変化をもたらしてくれます。そんな小さな事にも心が動き(動揺ではありませんよ)瞳が輝く感性を育み、機嫌良く過ごしたいものですね。

https://www.youtube.com/watch?v=OeLotcmI9uU
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黒滝伊都子

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