白い洋服や小物
汚れやすくて、目立ちそうで敬遠しがちですが、実は大人のワードローブに加えると驚くほど洗練されます。
「白を取り入れないなんてもったいない!」書籍や雑誌などでよく見かけますが、大人世代に浸透しているのは一部のようです。
そこで、大人こそ取り入れたい「白」についてお話ししますね。
コンテンツ
あらためて白という色について
白シャツや白いTシャツなどでトップスとしては取り入れることが多い白。あらためて白という色について考えてみましょう。
白いもの
まずは白い色をしたものを集めてみました。白という色をより強く意識してみて下さい。
人は厳かな白い色にあこがれ、白い神殿や街並み、モスクやお城を建設してきました。
最後の絵は藤田嗣治の「5人の裸婦」
女性の乳白色の肌を表現したこの白は「フジタホワイト」と呼ばれています。
「白いもの」から受ける「白い色」の印象というのは大きいのではないでしょうか。
白を感じる体験
白い色といえば思い出す、私の体験です。
高校生の夏休み。
ほとんど部活に明け暮れていたけれど、予定があって早退した日がありました。
同じ早退組の友人と校門に向かう途中、校舎を振り返ると、音楽室の窓からあこがれの先輩が顔を出して手を振りました。
その白いシャツがまぶしくて。
もう何十年も前のはなし。
先輩がどんなにかっこ良かったかは忘れてしまいましたが、その時に着ていたシャツが真夏の強い日差しに映えてまっ白く輝いていたのだけは覚えています。
みなさまは白い色の思い出がありますか?
人には自分の体験による色の印象というものもあり、それはひとりひとり異なっています。
白い色の印象
いっぽう、人間の進化の段階から影響を受けたのではないかといわれている色や、その色をした「もの」から受ける色の印象は共通のものが多いです。
そこで白い色から受ける一般的な印象をみていきましょう。
白は太古の昔から「黒い闇」に対して「明るい光」の意味がありました。また、多くの宗教で神につながる神聖な色です。
白には「神聖、純粋、無垢、明るい、清潔、平和、自由」などの意味があります。
夜の間にしんしんと降った雪。
朝、まだ足跡ひとつ残っていない雪景色に踏み入ってはいけないような「緊張感」
モネの「かささぎ」はシーンとした静けさを感じます。
また、何も存在していないことから「無」「虚無感」という意味もあり、
「頭がまっ白になる」と言ったりします。
さらに、明るさの裏返しで「罪が白日のもとにさらされる」や「白々しい嘘(明白な嘘)」などとネガティブな意味でも使われます。
色の持っているポジティブな印象は自分のイメージ戦略に活用したり、自分をその気にさせたりと、さまざまに取り入れることができます。
色々な白
白といっても色々な白があります。その一部をご紹介しましょう。
スノーホワイト
雪のようなまっ白。大人が着るのはパワーのいる白です。でも、真夏の日差しを味方につければすがすがしく着られます。
パールホワイト
白い真珠の色。独特の虹色の光沢があります。パールは大人の肌に程よい輝きを足してくれます。
ミルキーホワイト
ミルクのような不透明な白。乳白色のこと。黄みがかっているので黄色みの得意な人は顔映りがいいです。
オイスターホワイト
牡蠣の白い部分の色を言います。
ベージュに近い落ち着いた白なので大人には取り入れやすいですね。
アイボリー
象牙の色。クリーム色に近い白。温かみがあって素敵です。
他の白とかなり色味が違うので意識しないと合わせにくい場合があります。
生成り
染色または漂白される前の天然繊維の色。より白くを求める反面、自然志向の高まりの中で生まれました。
ナチュラルテイストに多く取り入れられる白です。
ナチュラルテイストではなくても、キャンバス地のバッグは、丈夫で大きさのバリエーションも多くとても便利です。
オフホワイト
まっ白に対して、よくオフホワイトという言葉を聞くと思います。これは「黄色や灰色を帯びた白」「純白でない白」というような意味です。
なので、範囲が広く「この色」というような明確なものはありません。大人のワードローブにはこの純白でない優しい白が取り入れやすいです。
ワードローブに白を取り入れる
大人のワードローブに白を取り入れると、とても洗練されたワードローブになります。若い人の白もとても可愛いですが、大人こそ白を取り入れたい。
白の4つの効果
大人ならではの白の効果をご紹介しましょう。
レフ板効果
顔元に白を持って来ると、レフ板で顔が明るくなったような効果が期待できます。
私は年々白いインナーが増えてきました。ピアスは大きめのパールを着けることが多くなりました。
抜け感・垢抜ける
白は色味が抜けているので、今流行の抜け感が生まれます。洋服をコーディネートして「何だかもっさりするなぁ」というときに、白いバッグや靴を合わせるとすっきり垢抜けた感じになります。
色柄を際だたせる
「若い頃はそうでもなかったのに、何だか色柄ものに惹かれる」ということはないでしょうか?
色柄もののニットやブラウスに白いボトムスはとても素敵。色柄ものを際だたせてくれます。
逆に「目立ちたくなくて落ち着いた色ばかり選んでしまう」ということはないでしょうか?
白はグレーやベージュのような落ち着いた色に合わせると、くすまず明るくなります。
「とりあえず黒」から一歩踏み出して、白や白に近いベージュのボトムスをコーディネートしてみてくださいね。
夏は涼しげに、冬は華やかになる
ダークカラーのインナー、スカートでも白のアウターで一気に涼しげになります。
他のシーズンだと浮いてしまうような白が夏には活躍します。強い日差しの中、白を楽しみましょう。
辺りにダークカラーが多くなる冬は、ほとんどベージュのような柔らかい白が暖かみもあり華やかになります。
白アイテム
それでは、白い色をどんなアイテムで取り入れればいいでしょうか?
トップス
顔周りに白を持ってくると顔色が明るくなります。
白シャツはワードローブにそろえておきたいアイテムの筆頭に上がります。多くの人にとっては非常に使えるアイテムです。
ただ、私はぱりっとしたシャツがあまり得意ではありません。シャツ襟でも素材はソフトだったり、ブラウスやニットの方が取り入れやすいです。なので、リネン以外の白シャツは持っていません。
白シャツでも白ブラウスでも白ニットでも、雰囲気に合わせて取り入れてみて下さい。
ボトムス
白いパンツとホワイトデニムはひとつは揃えておきたいアイテムです。パンツをはかない方はホワイトデニムのスカートやオフホワイトのプリーツスカートなんかもコーディネートしやすいです。
「ボトムスに白」が大人世代も抵抗なく普通になるといいなぁ。
ジャケット・アウター
夏ジャケットとして白いジャケットがあるとトップスとボトムスが多少ダークでも夏仕様になります。また、白っぽいコートは冬枯れの街に華やかさを添えます。
バッグと靴
小物では白バッグと白い靴は持っていたいアイテムです。「抜け感」のキーアイテムと言えるでしょう。どちらもデザインはカジュアルな方が様々な場面で使えます。
もし、かっちりとしたバッグやパンプスを取り入れるとしたら、白×ベージュなどのバイカラーのものが取り入れやすいと思います。
パールのアクセサリー
パールは若い頃より似合うようになったと思います。大人の肌に優しい輝きを足してくれるのがパールです。
色々な色のパールがあるので、肌色に映えるものを選んで下さいね。
その他
夏に限らず腕時計のベルトを白にしても素敵。
白いネイルも上品です。
大人の気配りで
ワードローブに白を取り入れるとき、気をつけたいことがあります。大人の気配りでエレガントに白を取り入れましょう。
新しいものを
白は白くないと。
なのでシンプルな白いニットやTシャツに限っては毎年買い換えます。ということはファストファッションのショップを大いに利用しています。
食べ物を飛ばさない対策
よくやってしまいます。
気をつけているのにパスタのトマトソースってどうして飛んでしまうのでしょう?
白いトップスの日はトマトソースのパスタは食べない、担々麺は食べない、カレーうどんは食べないのが確実です。
これ、対策とは言えないですけれどね。私は食べないことにしています。
どうしても食べたいときは、大判のハンカチをきれいなヘアクリップで首に留めて食べます。なので、ハンカチの色もその日の洋服と何となくカラーコーディネートしておきます。
最近はナプキンを貸してくれるお店も多くなりました。
白の下には何色を着たらいいか?
白いボトムスの下には
白いボトムスはある程度地厚の生地が安心です。
サイズ感も大事。
ぴちぴちにならないように通常よりワンサイズ大きくする場合もあるので、しっかり試着をして下さいね。
これでだいぶん下着が透けにくくなりますが、さらに下着対策です。
白いボトムスの下はレースなどの凹凸のないシームレスな濃いめのベージュが心配ありません。
今はパンツの股上が深いので、大人の身体を優しくすっぽり包む下着がいいですね。段差がつきにくくなります。
白いトップスの下には
白いトップスの下について、仕事場で議論になりました。
「白いトップスの下に黒は禁止」と「おふれがき」が出たのです。
大人世代は違和感がなかったようですが、若い世代は「なぜ?」となりました。
インナーの選択肢としては白、ベージュ、グレー系、黒、その他の色柄があります。どれがいいかは世代感やトレンドで変わるので普遍的な答えはありません。
ひとつ言えるのは、着こなしとしてインナーを見せたいか、見せたくないかで選ぶということです。
見せることが前提のインナー
最近は透け感がトレンドなので、インナーが透けて見えるようなレースや薄手のブラウスをよく見かけます。
この場合はインナーを見せることが前提なので下着のようなベージュという選択はありません。
その他の色はカラーコーディネートによって何色でもいいでしょう。
白にシロは白がくっきり映えます。ベージュなら下着感のないラメ入りや光沢のあるものがきれいです。
私は花柄やアニマル柄のタンクトップを薄手のトップスのインナーに着ることがあります。柄に紗がかかっていい感じになります。
見せないことが前提のインナー
あまりゆるくないビジネスカジュアルやビジネススーツの中に着るトップスとしては、透けない生地が前提です。インナーは目立たないことが求められます。
白に白はけっこう目立ちます。
一番目立たないインナーの色はベージュ。次がグレー、黒と続きます。私は明るいグレーからチャコールグレーまで、グレーを取り入れることが多いです。
ブラウスに裏がついていてインナーを着なくても良いものもありますね。
男性の白シャツの下にはどんなインナーを着ればいいでしょうか?
本来シャツは下着だったので下着の下に下着は重ねません。写真のコリン・ファースも着ていないでしょう。
ただ、高温多湿の日本のビジネスマンはインナーを着たいという方が多いです。
そこでインナーは、できるだけ着ていないように着ることを目指します。
シャツから襟が見えないV襟かU襟で、一番抵抗感がなく透けにくいグレーをおすすめしています。
まとめ
白という色の持っている華やかさや抜け感をワードローブに取り入れましょう。
嬉しい効果4つ
・レフ板効果
・抜け感、垢抜ける
・色柄を際だたせる
・夏は涼しげ冬は華やか
大人の気配りで大人のエレガンスを
・白は白く
・トマトソースにご用心!
・素材とサイズ感、インナーに気配りを
私は、出先ではいていたパンプスがあまりにも痛くなって、近くにあったイトーヨーカドーに飛び込み、白のローファーを買ったことから白い靴の良さを知りました。
試しに惜しげのないお値段のものからはじめるというのもいいですね。
最後に
色は様々なものに置き換えてイメージすることができます。
それでは、白と言えばどんな曲を思い出しますか?
私にとっては懐かしの曲だけど、子ども達にとってはジブリの曲。
ユーミンの「ひこうき雲」
サンサーンス「瀕死の白鳥」
引退してもう観ることはできないロパートキナの白鳥。
バレエ好きなら白鳥の湖も外せない!
もうひとつバレエ音楽から
チャイコフスキー「くるみ割り人形 雪の精のワルツ」
クリスマスになると観たくなる「くるみ割り人形」
映像はロイヤルバレエの公演
みなさまは白と言えばどんな曲を思い出しますか?
白はたくさんありそうですね。
Style Season 黒滝伊都子